創作をするにあたり、モチベーションを保つことを目的として。
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True Answers
ラウィス ストーリー
あの頃はただ信じていたんだ
いつかすべてが報われる日が来るって
いつかすべてを受け入れてくれるって
ただ 信じていたんだ
限られた場所でしか使用することを許されなかった魔法。それは屋敷の裏庭の隅、人目につかないように大木の陰に隠れるように。ひっそりと、外の誰にも気づかれないように。
それでもただひたすらに練習を重ねた。新しい魔法が使えるようになると、すぐに父や兄のところへ飛んで行き、それを報告した。
期待したような返事は、返ってきたことはないけれど。
いや、練習をさせて貰えるだけで、それで充分なのだ。――今はそう、自分に言い聞かせることにしていた。
その日も、今まで練習を積んできたものが実って、父の部屋へ走った。広い屋敷の、鮮やかに赤い絨毯が敷かれた廊下を、軽い足取りで走り抜けていく。
「まあ。嬉しそうですね、ラウィス様」
途中ですれ違った使用人が声をかけてきた。ラウィスと呼ばれたまだ幼い少年は、笑顔で振り返る。
「うん、今から父さんのところに行くんだ」
ラウィスはそのまま廊下を走り進む。突き当りに大きな木製の扉が見えてきた。扉には豪奢な彫刻が施され、重々しくその場所に立ちそびえている門のようにも見える。ラウィスは自分の住む屋敷には、父親の趣味で収集されたものや、高名な職人に銘じて造らせた芸術的価値のあるものがそこかしこに存在することを知っている。この扉もその一つで、父の特別なお気に入りだ。
そんな大切なものに傷などつけてはいけない。ラウィスは扉の前に立ち止まると息を整えた。
(父さん、褒めてくれるかな)
胸に淡い期待を秘めつつ、ノックをしようと慎重に手を伸ばしたその時、ふと扉の向こうから声が漏れ聞こえた。
(父さんと兄さんの声だ)
ラウィスは耳をすませた。盗み聞きは悪いことだと知っているが、どうしても気になった。はっきりとではないが、聞き取れるくらいの声で二人は話している。
声の感じからして、中にいるのは三人いる兄のうちの、一番上の兄のようだ。三人は年が近く仲が良いが、かなり年の差のある末弟のラウィスは、兄達にまるで相手にされたことがない。ラウィスを産んですぐ母親が死んでしまったこともあってか、兄達はラウィスとろくに会話もしようとはしてくれないのだった。そしてそれは、父も同じ。
「父さん、ラウィスはどんどん力をつけてきているよ」
それを聞いて、ラウィスの顔がぱっと輝いた。滅多に声をかけてもらうことのない、他人のような兄が、自分のことを話している。それも、父親との会話の中で。
「……あいつの力は、どこか計り知れないものがあるようだ」
父親がそう言いながら、ため息をついたのがわかった。
(僕のこと、褒めてくれているのかな)
胸を高鳴らせ、ラウィスは扉の向こうの会話に聞き入った。
途中ですれ違った使用人が声をかけてきた。ラウィスと呼ばれたまだ幼い少年は、笑顔で振り返る。
「うん、今から父さんのところに行くんだ」
ラウィスはそのまま廊下を走り進む。突き当りに大きな木製の扉が見えてきた。扉には豪奢な彫刻が施され、重々しくその場所に立ちそびえている門のようにも見える。ラウィスは自分の住む屋敷には、父親の趣味で収集されたものや、高名な職人に銘じて造らせた芸術的価値のあるものがそこかしこに存在することを知っている。この扉もその一つで、父の特別なお気に入りだ。
そんな大切なものに傷などつけてはいけない。ラウィスは扉の前に立ち止まると息を整えた。
(父さん、褒めてくれるかな)
胸に淡い期待を秘めつつ、ノックをしようと慎重に手を伸ばしたその時、ふと扉の向こうから声が漏れ聞こえた。
(父さんと兄さんの声だ)
ラウィスは耳をすませた。盗み聞きは悪いことだと知っているが、どうしても気になった。はっきりとではないが、聞き取れるくらいの声で二人は話している。
声の感じからして、中にいるのは三人いる兄のうちの、一番上の兄のようだ。三人は年が近く仲が良いが、かなり年の差のある末弟のラウィスは、兄達にまるで相手にされたことがない。ラウィスを産んですぐ母親が死んでしまったこともあってか、兄達はラウィスとろくに会話もしようとはしてくれないのだった。そしてそれは、父も同じ。
「父さん、ラウィスはどんどん力をつけてきているよ」
それを聞いて、ラウィスの顔がぱっと輝いた。滅多に声をかけてもらうことのない、他人のような兄が、自分のことを話している。それも、父親との会話の中で。
「……あいつの力は、どこか計り知れないものがあるようだ」
父親がそう言いながら、ため息をついたのがわかった。
(僕のこと、褒めてくれているのかな)
胸を高鳴らせ、ラウィスは扉の向こうの会話に聞き入った。
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